要点
- 旧版を持っている人は三訂版を買い直しません。目次を並べると100題と追加の11題は同じ数で、題名が違うのは熱化学の2題だけ。ほかの単元は旧版のまま解き進めます
- 熱化学は教科書と共通テストの過去問で今の書き方を練習し、旧版の「+243kJ」は「ΔH=−243kJ」と符号を逆にして解きます。難しい問題も今の書き方で解きたい人は、志望校の2025年度からの過去問を使います
- まだ持っていない人は中古の旧版を探さず、三訂版を新品で買います。税込1,870円です
新理系の化学問題100選の旧版を持っている人は三訂版を買い直さず、熱化学を今の書き方で練習し直せば足ります。旧版と三訂版の目次を並べても、題名が別になったのは熱化学の問題だけだからです。旧版で「+243kJ」を見て、学校で習ったΔHとちがうと手が止まったら、符号を逆にした「ΔH=−243kJ」に直して解きます。
こんな人は
- 旧版を持っている人は買い直さず、熱化学を教科書と共通テストの過去問で今の書き方に慣らします。
- まだ持っていない人は中古の旧版を探すより、三訂版を新品で買うほうが早いです。
- 熱化学の難しい問題も今の書き方で解きたい人は志望校の2025年度からの過去問を解きます。

旧版はそのまま使い、熱化学を補う
三訂版が出たと聞くと、手元の本が丸ごと古くなった気がしてきますよね。
でも、旧版と三訂版の目次を並べると、ちがいはごく一部です。100題と追加の11題という数も問題ごとのページも同じ。題名が別になったのは第7章の熱化学の2題だけでした。
駿台文庫は新しい課程でエンタルピー、エントロピー、ギブズエネルギーという言葉が入ったのに合わせて、すべて書きかえて問題も一部入れかえました。前の課程の問題集で練習できないのは熱化学だけだと、受験雑誌『螢雪時代』の化学の記事にもあります。
出版社から本をもらった予備校の講師もXで、問題は前のままで、新しくなったのは溶解度積の項目だと書いています。溶解度積は昔とくらべて大きく変わった分野だ、というのが講師の見方です。それでも上の螢雪時代の記事のとおり、旧版の溶解度積の問題もそのまま練習につかえます。
エンタルピーは物質がもつエネルギーを表す量のこと。名前の似たエントロピーとはべつの量です。今の教科書では反応で出入りする熱をエンタルピーの変化で書き、ΔHという記号を使います。
私なら旧版をそのまま使い、熱化学の問題にふせんをはっておきます。教科書で今の書き方を見てから、その問題にもどれば十分です。迷ったら買い直さず、まず旧版の熱化学の1題を今の書き方に直して解いてみましょう。
三訂版で変わったのは熱化学の書き方と一部の問題
ここで比べる旧版は2015年の新装版です。2005年の増補改訂版も熱化学は前の書き方のままです。
比べる所 | 旧版(2015年の新装版) | 三訂版(2025年) |
|---|---|---|
熱の書き方 | 「=」でつなぎ、出る熱を「+」で書く(反応熱) | 「→」でつなぎ、ΔHを付ける(エンタルピー変化) |
第7章の熱化学の4題 | 熱化学計算−1、熱化学と物質の安定性、化学反応をすすめる要因、熱化学計算−2 | 熱化学計算−1、熱化学計算−2、化学反応を進める要因、反応進行可否の判断,比熱計算 |
問題の数 | 100題と追加の11題 | 同じ。ほかの問題も題名とページは同じ |
定価(税込) | 1,485円(2023年の表示)。楽天ブックスで新品を注文できない | 1,870円 |
三訂版の見本を開くと、気体の法則を使う問題13でも反応式の後ろにΔHがついていました。熱の値は計算には使いません。旧版で同じような式が「+◯kJ」の形で出てきても、気体の計算の解き方は同じです。
三訂版の37は題名が「反応進行可否の判断,比熱計算」で、反応が進むかどうかを判断する問題です。反応が進む向きを、旧版は「エネルギーと乱雑さ」で考え、三訂版はエンタルピーとエントロピー、ギブズエネルギーで考えます。
今の教科書の多くは乱雑さを表すエントロピーを本文で扱います。ギブズエネルギーは一部の教科書の発展だけです。
熱のほかにも大きく変わった言葉が3つあり、問題に出たら今の教科書の言い方で答えます。遷移元素に12族が入り、BeとMgもアルカリ土類金属に入りました。気体が液体を通らずに固体になる変化は「凝華」と呼びます。
熱化学は教科書と共通テストの過去問で補う
前の課程の熱化学方程式は「=」で両辺をつなぎ、出る熱を右に「+」で書きました。今の課程は「→」の反応式にΔHをつけます。物質の側から熱の出入りを見るので、熱を出す反応はΔHがマイナス。
旧版の書き方(前の課程) | 今の書き方(三訂版と今の教科書) |
|---|---|
H2(気)+1/2O2(気)=H2O(気)+243kJ | H2(気)+1/2O2(気)→H2O(気) ΔH=−243kJ |
Na(固)=Na(気)−109kJ | Na(固)→Na(気) ΔH=+109kJ |
熱の呼び名の例:生成熱、燃焼熱、溶解熱、中和熱 | 生成エンタルピー、燃焼エンタルピー、溶解エンタルピー、中和エンタルピー |
結合エネルギー、ヘスの法則の考え方 | 同じ |
上の2つの式は旧版の問題37に出てくる式です。
練習には学校で使っている今の『化学』の教科書と、大学入試センターが無料で出している共通テストの過去問を使います。今の書き方で作られているのは2025年度からの問題です。
2025年度の化学には同じ問題を今の書き方と前の書き方の両方で出した大問がありました。並べて解くと、エンタルピーと反応熱で符号が逆になるところがよくわかります。
三訂版の熱化学の問題を解かないと損では、と思うかもしれません。でも旧版の問題も式を読みかえれば、同じように考える練習になります。志望校の2025年度からの過去問で、今の書き方の難しい問題も解けます。
まだ持っていない人は三訂版を新品で買う
旧版は2015年の本で、楽天ブックスでは新品を注文できません。三訂版が出る前の2025年10月、京大の医学部をめざす高3が知恵袋で、値上がりした旧版の中古はあまり買いたくないと書いていました。
三訂版の発売前
発売が遅く、メルカリで買ってしまった。
駿台文庫の公式動画へのコメントの要約
昔の版を使った
4月は最初の数問で難しくてやめた。8月末から再開して11月ごろにひと通り終え、化学が得点源になった。
個人ブログ(2010年)の要約
東大理3に合格した人
浪人の夏から直前期に解き、間違えた問題は2周した。力は付くが、やりすぎ気味の本で、ほかの科目に時間を回すべきかもしれないと書く。
note(2025年8月)の要約
ひと通り解くのに3か月ほどかかった人もいるので、高3の秋から始めるなら点を取りたい単元にしぼれば十分です。著者も本の使い方の欄で、時間がないときは伸ばしたい分野の数題から十数題にしぼるよう書いています。高3で、化学の新演習など手持ちの問題集にまちがえた問題が残っているなら、三訂版を足すより、その復習が先です。
まだ持っていない人は中古をさがすより、熱化学まで今の書き方で通して解ける三訂版を新品で買います。税込定価は1,870円(2026年10月6日、駿台文庫の商品ページ)で、問題は100題と追加の11題。購入先では表紙の「三訂版」を見て選びます。
化学の新演習も前の版を持っているなら、化学の新演習は新装改訂版へ買い直す?で同じように決められます。
今日は旧版の熱化学の1題をΔHで書き直す
- 教科書で熱化学の章を読む今の『化学』で、ΔHの符号と熱の呼び名、エントロピーの節を見る30分
- 共通テストの熱化学の問題を解く2026年度本試験の化学の第2問の問1と、2025年度追試験の第5問と第6問の問1を並べて解く30分
- 旧版の熱化学の1題を書き直して解く式の「+◯kJ」を「ΔH=−◯kJ」にしてから解くまず1題
書き直した式で答えが合ったら、あとは旧版のまま最後まで進めましょう。
これから1冊目を買う人には熱化学まで今の書き方でそろった三訂版が合います(税込1,870円、2026年10月6日、駿台文庫)。
購入先
価格・在庫は購入先でご確認ください。広告リンクを含みます。
- 向く人
- これから新理系の化学問題100選を使う人。熱化学の問題まで、今の教科書と同じ書き方で通して解きたい人。
- 確認すること
- 表紙に「三訂版」とある本を選びます。高3の秋から始めるなら、点を取りたい単元にしぼります。旧版を持っている人は買い直さず、熱化学を教科書と共通テストの過去問で補います。
書籍の仕様を見る
- 判型・ページ数
- B5判・232ページ(出版社表示)、別冊の解答・解説つき
- 発売日
- 2025年11月27日(書店発売日)
- 収録
- 思考型の問題100題と、追加問題・後期・論述対策の11題
記事の誤りや古い情報は、訂正・お問い合わせフォームからお知らせください。
