要点
- 五訂版を持ち、統計を学校教材で補えるなら五訂版を続ける。ベクトルは旧版にも載っている
- 統計も1冊で学ぶなら六訂版を選ぶ。第9章の統計15テーマで期待値から推定・検定まで練習できる
- 手持ちで受験範囲を解けるならどちらも買わない。迷ったら学校の統計を1問解く。解説で直せるかを見て、不足する単元だけ補う
五訂版を持ち、統計を学校教材で補えるなら、数学II・B基礎問題精講は買い直さず続けます。六訂版の決め手は第9章の統計15テーマで、ベクトルは五訂版にも載っています。旧版が受験に足りるか不安で迷ったら、学校の統計を1問解くところから始めます。

統計を学校教材で補えるなら五訂版を続ける
私なら、解き直しの印が付いた五訂版は残します。 新課程に足りない統計は補い、すでに学んだ数列やベクトルは、その印を使って復習する方がよいからです。
この比較の旧版は『数学II・B 基礎問題精講 五訂版』、新版は『数学II・B+ベクトル 基礎問題精講 六訂版』です。数学I・Aや数学III・Cの改訂とは分けて考えます。
買い直しに関わる差 | 五訂版 | 六訂版 |
|---|---|---|
基本問題のまとまり | 167テーマと補充3題 | 183テーマ |
第9章 | 身近な題材の補充問題3題 | 統計的な推測15テーマ |
統計を練習する場所 | 学校など別の教材に用意する | 第9章で期待値・分布・推定・検定を練習する |
同じ2項定理の演習3の解答 | 係数の計算を4行で示す | 一般項を立てる所から7行で示す |
基礎問と補充問題の項目数は、五訂版が167+3で170、六訂版が183です。全体では13項目増えています。統計15テーマがそのまま15項目の純増になったわけではありません。 第9章の内容が変わり、ほかのテーマにも変更があります。
ベクトルは両版とも第8章です。数学Bから数学Cへ移った単元を、六訂版でもII・Bと同じ巻に収めています。表紙に「+ベクトル」が加わったからといって、五訂版のベクトルを捨てる必要はありません。
統計も1冊で学ぶなら六訂版を選びます。表紙の「数学II・B+ベクトル」「六訂版」が目印です。旺文社の税込定価は1,650円(2026年10月2日)。紙の本1冊の費用は、この本代に購入先の送料・手数料を足した額です。
六訂版の15テーマは、期待値から推定・検定まで学ぶために使う
統計の追加を、仮説検定だけの追加と考えると足りない範囲を見落とします。六訂版は169の確率変数と確率分布から始め、183の仮説検定まで進む構成です。
期待値の見本は266〜267ページです。くじの賞金と確率の表を作り、金額を確率で重み付けして平均を求めます。その結果をくじの代金と比べ、損か得かを答える所までが基礎問です。
精講は、賞金の平均を求める具体的な計算から、確率変数の期待値の式へつなげます。解答の横には計算しやすいまとめ方もあります。公式を読むだけで終えず、演習問題170ではコインを投げる別の設定で期待値を求めます。
学校教材で補えるかは、次の4群を探すと分かります。章の名前が違っても、扱う内容で見ます。
学校教材で探す内容 | 六訂版の対応テーマ | 練習すること |
|---|---|---|
確率分布・期待値・分散 | 169〜175 | 値と確率の表を作り、期待値と分散を求める |
二項分布・確率密度関数・正規分布 | 176〜179 | 二項分布の平均・分散、確率密度関数、正規分布の標準化と二項分布の正規近似を使う |
標本平均・区間推定 | 180〜182 | 標本平均の分布、母平均と母比率の信頼区間を求める |
仮説検定 | 183 | 帰無仮説、棄却域、結論をつなげる |
問題と解説が学校教材にそろい、間違いを直して解き直せるなら、統計用の本は増やしません。 数学Iのデータの分析や仮説検定の考え方だけで、上の4群を済ませる予定にはしません。
六訂版を買う人は、統計15テーマを1日1テーマで進める予定なら15日です。1日30分の枠を取ると計7時間30分。これは予定を作るための試算で、翌日の復習や演習の解き直しは別に取ります。30分で終わらないテーマは翌日に続けます。
解説の補足はあるが、統計を補える人は五訂版を続ける
六訂版には、統計以外でも解説を補った箇所があります。五訂版の公式解答PDFの274ページと、六訂版の公式解答PDFの306ページを並べると、同じ演習3の説明が違います。
2項定理で係数を求める問題です。五訂版は係数の計算を4行で示し、六訂版は展開の一般項を書き、どの項を選ぶかを決めてから計算します。解答は7行です。数学Aの組合せと2項定理を使う点、求まる係数は共通です。
一般項を立てる所で止まる人には、六訂版の補足は助けになります。ただ、学校の教科書や五訂版の基礎問で、その手順を説明し直せるなら今の本で復習できます。解説の補足があることと、買い直す必要があることは分けます。
ベクトルも、正六角形のベクトルを求める演習は、五訂版138と六訂版139で同じ4小問の解答です。式をたどる道筋は共通で、六訂版は途中式を横にまとめた配置になっています。問題番号が変わっていても、手元の五訂版で学んだ内容は使えます。
一方、基本的な式変形や組合せから説明が分からない人は、版を替える前に教科書の該当例題へ戻ります。短い精講と問題演習で進む本なので、六訂版を導入の講義の代わりに買うより、学校の先生に自分の途中式を見せる方がよい場面です。
統計を選ぶかで必要範囲を決める。曲線と複素数平面は別に学ぶ
共通テストを受けるだけで、全員に買い直しを勧めるのは広すぎます。2027年の大学入試センターの出題方法では、数学II・B・Cのうち、BとCは次の4項目から3項目を選びます。
- 数列
- 統計的な推測
- ベクトル
- 平面上の曲線と複素数平面
数列・ベクトル・統計を選ぶなら、五訂版に学校の統計教材を足して学べます。曲線と複素数平面を選ぶ人は、その教材を別に用意します。六訂版にも曲線と複素数平面の章はありません。
統計を選ばず、個別試験でも統計を使わない人には、統計の追加を理由にした買い直しは不要です。ただし、曲線と複素数平面をまだ習っていない人が、旧版を使いたいという理由だけで統計を捨てるのは勧めません。どちらを選ぶかは共通テストの統計的な推測の選び方で、履修と過去問の得点から決められます。
私大・二次試験の範囲は大学・学部・方式で違います。受ける年度の募集要項にある数学B・Cの指定範囲を、学校の先生と一緒に読みます。
手持ちで受験範囲を解けるなら今の教材で進む
学校の問題集などで基本解法を学べている人は、五訂版も六訂版も買い足しません。新しい基礎問を最初から読む時間を、今の教材の解き直しと過去問に使います。
旧版を買った保護者には、対応年度を見落としたという声があります。一方、基礎問を使った再受験生の記録には、1周後も同じ問題で間違え、同じ本を繰り返してから過去問へ進んだ例があります。
不足する単元と、載っているのに解けない問題は別です。統計が足りなければ補い、数列やベクトルで止まるなら手元の本に戻ります。旧版のせいだと考えて全部やり直すより、この分け方を先にします。
迷ったら学校の統計を1問解くところから始めます。推定・検定の問題を1つ選び、答案を書いて解説を読み、自分の間違いを直します。この1問で分かるのは、その問題の説明を学校教材で理解できるかです。統計全体の仕上がりは、上の4群の問題を解きながら見ます。
中古を探す人は補完費まで、統計も1冊で学ぶなら六訂版を選ぶ
中古の五訂版は、本代だけで安いと決めません。統計を学校教材で補えるなら、補完のための追加購入額は0円です。別の統計本が要るなら、中古の本代と統計本の本代、それぞれの送料・手数料を足して考えます。
新しく基礎問を買う人も、統計も1冊で学ぶなら六訂版を選びます。数学II・Bとベクトルに統計もそろえた紙の本で、税込定価は1,650円です(旺文社、2026年10月2日)。購入先では、表紙の「数学II・B+ベクトル」「六訂版」で選びます。
五訂版を持っている人が今日することは、学校の推定・検定の問題を1問解くことです。この1問は、解説で間違いを直せるかを試すために使います。統計を学校教材で補えるかは、上の4群の問題と解説がそろい、間違いを直して解き直せるかで判断します。
購入先
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- 向く人
- 統計も1冊で学ぶなら六訂版を選ぶ。数学II・Bとベクトルの基本解法に、統計の期待値・分布・推定・検定も同じ本で加えて練習したい人。
- 確認すること
- 五訂版を持ち、統計を学校教材で補えるなら五訂版を続ける。表紙は「数学II・B+ベクトル」「六訂版」。曲線と複素数平面は別に学ぶ。手持ちで受験範囲を解けるならどちらも買わない。基本的な式変形や組合せの説明で止まる人は、先に教科書の該当例題へ戻る。
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- 判型・ページ数
- A5判・本冊360ページ
- 収録範囲
- 数学II・B+ベクトル。183テーマ、うち統計15テーマ
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